新築より中古が売れる時代に

日本では長らく「マイホーム＝新築」という価値観が根強くありました。
ところが近年、建築コストや物価、金利の上昇に加え、賃貸住宅の家賃高騰も重なり、
「中古住宅を選ぶ」人が急増しています。

経済産業省の産業活動指数によると、2016年ごろにはすでに
新築マンション分譲より中古マンション売買仲介の方が活発になり、
2025年に入ってからは成約数がさらに急増。
日本でも「住宅といえば中古」という新しい価値観が広がりつつあります。

“高嶺の花”となった新築

2025年7月時点の首都圏新築マンション平均価格は1億円超。
戸建ても建築基準の強化や性能向上の影響で価格が下がりにくい状況です。
さらに、これまで上がりにくいとされてきた賃貸住宅の家賃までもが上昇傾向にあります。

「家賃が高すぎる」「でも新築は手が届かない」
──こうした声が増え、中古住宅の需要が一気に高まっています。

年収800万円でも“新築・築浅”は夢のまた夢

東京カンテイの調査によれば、年収800万円世帯が購入可能（年収倍率7倍以内）な
新築・築浅マンションがある駅は、首都圏でわずか20駅（14.5％）。
平均価格は以下の通りです。

• 新築マンション：9,784万円（年収倍率12.2倍）
• 築10年以内マンション：7,760万円（年収倍率9.7倍）

年収倍率7倍を超えると融資審査が厳しく、返済負担も重くなります。
結果として、多くの家庭にとって中古住宅が“現実的な選択肢”となっています。

単身者向け賃貸も平均10万円超に

アットホームの調査では、東京23区の単身向け賃貸マンションの平均募集家賃が初めて10万円を突破。
インフレや地価上昇の影響を受け、借地借家法で賃料改定が難しい中でも、家賃は上がり続けています。

中古市場が選ばれる理由

金利上昇や実質賃金の減少など、一見マイナス要因もありますが、
「賃貸の更新時に購入へ踏み切る」「リノベ前提で中古を選ぶ」といった住み替え需要が増加中です。

つまり、いま住まいの選択肢は「新築」「中古」「賃貸」の三つ。
その中でも、中古住宅は価格・立地・将来の資産性のバランスが取れた“合理的な選択肢”として注目を集めています。

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